東京にはブランド立地といわれる街がある。有名なのは赤坂、青山、麻布で3Aと呼ばれている。年月が経つほどに価値が下がるのではなく、逆に高まっていく。ブランド立地の多くは再開発が行われるなどで進化し、にぎわいにあふれている。しかし一方で、静かに、時代に流されることなく、プライドを維持しつづける街もある。世田谷区野沢。東急東横線「学芸大学」駅から少し歩いたところにある街。

高級住宅街として知られる野沢は、派手さはないがその立地の良さで若い人からも人気がある。しっとりとしている、と野沢を歩いていると思う。庭のある家が多く、そこにある緑が潤いをもたらせているからか。街の真ん中にあるのは龍雲寺。広い敷地には木々が茂り、その静謐な雰囲気のなかでは坐禅会や写経会などが行われていて、心洗われる体験ができる。また、盆踊り大会も催され、この界隈の夏の風物詩となっている。閑静な住宅街のなかに気持ちが静まる禅寺がある。そんなことも、野沢のしっとりとしたイメージをつくっているのかも知れない。

野沢に暮らしたらやってみたいことがある。それはチェアリング。チェアリングとは、アウトドア用の折りたたみイスを持って散歩をしながら、好みの場所を見つけてそこに寛ぐ、街歩きの新しいカタチ。これならベンチがない場所でも、ゆっくり座って過ごすことができる。野沢からは、15分ほど歩けば駒沢オリンピック公園に着く。41.3ヘクタールという広大な公園内には陸上競技場やサイクリングコースなどがある。スポーツ中心の公園だが、木立のなかでチェアに座ってぼんやりと過ごすのもいい。もちろん、気が向いたらジョギングをしてみたり。野沢から駒沢オリンピック公園へチェアリング。楽しい休日が過ごせそうだ。

潤いある暮らしが楽しめる世田谷の奥座敷、野沢。気が向いたらアクティブな休日も楽しめる、充実の日々がここにある。